対岸の彼女

2005年7月11日
対岸の彼女
   「対岸の彼女」角田光代著  文藝春秋

30代、既婚、子供ありの小夜子と、
同年齢、独身、子供なしの葵。
性格も生活環境も全く違う二人の女性の間に
友情は成立するのか!?
そんな内容紹介だったから
軽い気持ちで読み始めたんだけど、
そんな表面的なことはあまり関係がなかった。
心に響くとても素敵な作品でした^^

小夜子が娘を連れて
公園デビューした際での挫折感、そして焦燥感。
仕事を始めることで、高揚する気分。

ずっと遠くに行きたい、と思いながら親友と逃避行、
結局、元の場所に戻るしかなかった高校時代の葵。

仕事を興し社長として頑張る中で
人と関わることに疲れている自分に愕然とする葵。
過去を思い返し、そこで何かを見つけ直そうとする。

「私たちは何のために歳を重ねるんだろう」と
自問する小夜子。
「生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない。
また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ・・・。」と
自分なりの答えを出し、再び歩き始める小夜子。
そして、葵と新しい形で出会う。

葵の高校時代の話は、いろいろと感じるところが多くて
泣けて仕方なかったです。
ひとりぽっち恐怖症。
「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達より
ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと
出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってする。」
長女に読んでほしいなぁって思いました。

痛かったり、辛かったり、切なかったり、
むず痒かったり、懐かしかったり、ほっとしたり。
自分が言葉にできなかった曖昧な感情が
文章としてそこにありました。嬉しかった。
             (上記作品より引用)

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